私が学生のころ、核融合による発電はあと30年もあれば実現するといわれていた。
あれから、ちょうど30年が経過したが、なかなか、核融合は日の目を見ない。
あのころは、核融合といえば予算が付いた。今は核融合と書くと予算が通らないので核融合を研究したい人も材料やナノテクなど、別の名目で予算を確保し、水面下で細々とやっている。
あのころが、もっとも、核融合研究が華々しく、研究機関も研究者も多かった。
人類の悲願を達成するということは私自身にとっても魅力的なテーマであった。
長岡技大の学部の研究室配属の際、イオンビーム慣性核融合の研究をしていた当時のプラズマ研を希望する学生は多く、面接で八井先生が決めていた。
「私は核融合を研究するために生まれてきました」採用してもらおうと私は面接で八井先生にこう力説した。結果、あいつはほら吹きだという理由で落選した。
あきらめられず、やはり磁場閉じ込め核融合に必要な超伝導マグネットの研究室に入ることになった。学部の4年の後半の約半年は原研の核融合研究部、超伝導研究室で実務訓練を受けた。島本 進さんという、超伝導の教科書を書いた有名な研究者がいる研究室だった。
もちろん、本にサインをしてもらったことは言うまでもない。
当時は、丁度、原研那珂研が建設中で、私の実務訓練最中にも建設現場の見学などに連れて行ってもらった。
原研では、LCT(LARGE COIL TASK)用の各種超伝導線材が液体ヘリウム温度(-269℃)の極低温まで冷却されたときにどの程度の熱歪と熱応力が生じるかを測定しデータをまとめた。試料にひずみゲージをつけて液体ヘリウムデュワーの中に試料を入れてケルビンダブルブリッジでひずみゲージの抵抗値の変化から応力を求めた。
このときの実験室だったモックアップ建屋は今は倉庫のようになっている。
このときのデータを論文にしたものが下記である。
今見て思うと島本さんと私が連名のドキュメントがあったんだな。すごい。
http://www.osti.gov/energycitations/product.biblio.jsp?osti_id=6233233Title:Mechanical properties of the Japanese LCT coil conductor
Author:Yoshida, K. ; Shimada, M. ; Shimamoto, S. ; Tada, E. ; Tada, N. ; Takahashi, Y. ; Tokuchi, A.
Publication Date:1982 Jan 01
Resource Relation Journal Name: Adv. Cryog. Eng.; (United States); Journal Volume: 28; Conference: 1981 cryogenic engineering conference, San Diego, CA, USA, 10 Aug 1981
Research Org Japan Atomic Energy Research Institute, Iboraki
Abstract
Far fewer studies have been carried out on the mechanical properties than on other aspects of conductor design. This report, to help answer this discrepancy, describes the experimental data on the mechanical properties of the Japanese LCT conductor and its cold-worked oxygen-free Cu stabilizer and also discusses the relation between stress and stability in a fusion magnet. The purpose of the investigation is to measure the magnetoresistivity, yield strength, and stress-strain curve at 4 K for (1) individual strands, (2) the stranded cable alone, (3) the copper stabilizer alone, and (4) the full-size conductor. Characteristics of the conductor are given. Results for Vickers Hardness tests on 21% cold reduction copper at room temperature are listed. Tensile test results of the conductor elements at 4 K are tabulated. It was found that the law of mixtures can be applied to conductors on the scale of the LCT consisting of a stranded cable and a copper stabilizer. A method for using the law to calculate the yield strength of the conductor is presented.
Country of Publication United States