当社は、40年を超える高電圧・大電流パルス電源開発・設計の経験と実績に基づく確かな技術で、
パルスパワーの発生と制御に関する技術支援・カスタマイズ電源製作・共同研究(大学及び企業からの依頼)を行っています。
- 仕様検討
- 基本構想の検討
- 実験品の設計・組立・評価試験(負荷との構造的な組み合わせに最適な小型化設計等)
- 不具合調査、対策(誤作動・ノイズ・故障等)
- 性能改善策
- 実験、データ測定
- 解析、シュミレーション(回路計算、強度計算、電磁界計算、熱伝導計算等)
- 共同研究
- 学生指導(電気回路、電子回路、電磁石、CAD、回路シュミレーション、電気・電子・高圧に関する実験等)
- 非常勤講師(修論、卒論、卒研の指導)
パルスパワー技術についてTechnology of pulsed power
パルスパワーの発生と制御には下記の7つの技術が必要になります。
(1)電力変換技術
通常、家庭でも工場でも電力は交流で供給されます。
パルスパワーを発生するためには交流で供給される電力を高精度に制御された直流に変換する必要があります。
近年は高周波インバータ回路を使用した小型・高効率・高精度の電力変換方式が主流になっています。
(2)エネルギー蓄積技術
パルスパワーを発生するためには、まず、必要な電気エネルギーを貯めておく入れ物が必要になります。この電気の入れ物には大きく分けて2種類あります。
- コンデンサを使用した電圧エネルギー蓄積方法(容量性エネルギー)
- インダクタを使用した電流エネルギー蓄積方法(誘導性エネルギー)
どちらの方式でも、下記の性能が重要なポイントになります。
- 必要な電気エネルギーができるだけ小さい入れ物に入ること(小型)
- 電気エネルギーの出し入れの時に、エネルギーのロスが小さいこと(高効率)
- 電気エネルギーを急峻に取り出せること(高速)
それぞれの方式により、一長一短があり、用途に合わせた最適な方式の選定が重要になります。
(3)パルス発生技術
強力なパルスパワーを発生するためには、上記の入れ物に貯えていた電気エネルギーをいかに急峻に取り出せるかがもっとも重要なポイントです。
電気エネルギーを取り出すには高速に動作するスイッチを使用しますが、エネルギー蓄積方法により、必要なスイッチの種類が異なります。
A.コンデンサを使用した電圧エネルギー蓄積方法(容量性エネルギー)には短絡型スイッチ(クロージングスイッチ)を使用します。
コンデンサに貯められた電圧エネルギーを急峻にスイッチを閉じることにより負荷に急峻に電圧を印加します。
通常、高電圧、大電流であるため、従来は四極管やサイラトロンなどの放電管が多用されていました。
付帯設備が複雑で、定期的な調整が必要で、寿命が短いといった短所がありました。
最近では半導体スイッチが高電圧、大電流のものが生産される様になってきたことに加えて直列、並列に接続する技術レベルの向上により、半導体スイッチに置き換わりつつあります。
半導体スイッチを使用することにより、高繰り返しでパルスパワーを安定に発生することができるようになってきました。
B.インダクタを使用した電流エネルギー蓄積方法(誘導性エネルギー)には開放型スイッチ(オープニングスイッチ)を使用します。
インダクタに貯められた電流エネルギーを急峻に電流を遮断することにより負荷に急峻に電流を転流させます。
大規模のものでは、真空中に注入されたプラズマのキャリアの消滅を利用したプラズマオープニングスイッチが使用されます。
小規模のものでは、ダイオードの逆電流抑止特性を流用した、半導体オープニングスイッチ(SOS)が使われてきています。
(4)パルス圧縮技術
上記のパルス発生技術だけでは必要な強さのパルス電力が得られない場合には、さらにパルスを短く圧縮することにより、パルス電力を高めることができます。
代表的な方法には磁気スイッチを使用したパルス圧縮回路があります。
アモルファスコア等、強磁性体の磁気飽和特性をスイッチに利用したもので、通常、圧縮回路一段当たりでパルス幅が1/3から1/4に圧縮されます。パルス幅が圧縮された分、パルス電力は上昇します。
2段圧縮することにより、パルス電力を10倍に上げることもできます。
(5) パルス変換技術
パルス電力を最終的に負荷で必要となる電圧、電流に変換するためには、パルストランスや、電圧重畳回路などを使用します。
また、負荷と直接接続されるケースが多いので、負荷との隔壁の力学的な強度の他、絶縁耐圧、真空のリーク・放出ガス等の点についても合わせて複合的な検討が必要となります。
できるだけ急峻なパルス電力を効率よく負荷に伝達するためには、この出力部分の構造物の浮遊インダクタンス、浮遊容量等を極力減らし、かつ、負荷インピーダンスとマッチングさせることが必要です。
(6)制御技術
パルスパワーを精度よく、安定にかつ安全に発生させるためには、上述の各機能を連携させ、全体として最適効率で動作するように、全体の動作を監視・制御する機能が必要です。
最近は、シーケンサとタッチパネルを使用した全体制御盤を使用することが一般的です。
特に、高速な制御やインターロック動作の為に、FPGAやDSP、RISCといったデジタル制御と併用することが増えてきました。
また、外部制御との通信にはイーサネットを使用することができます。
(7)ノイズ対策技術
パルスパワー発生装置は負荷に極めて急峻なパルス電力を発生しますが、正常なノイズ対策を施さないと、一歩間違えるとノイズ発生装置となってしまい、周辺に設置された外部機器にノイズを撒き散らし、測定ノイズのもとになったり、誤動作を引き起きしたり、最悪、故障させる恐れがあります。
安全に使用するためには、ノイズ(伝導性、放射性)を外部に放出しないために適切な対策が欠かせません。
これには、設置する場所の状況に合わせた最適設計が重要になるため、負荷との構造的な整合性含めて、設計段階からユーザーと一体となった対策検討が必要です。
又、合わせて、外部から侵入してくるノイズに対しても、構造的に回路的に十分な誤動作対策をすることにより、不要動作や故障を未然に防ぐことも重要です。