昔むかし、私が小学生だった頃、友達が学研の電子ブロックというものを持っていた。抵抗、コンデンサやトランジスタ等の電子部品が同じ形のサイコロ状のケースに入っていて側面に端子板状の足がついていた。専用のボードに部品を指すことで隣り合った部品の足同士が接触し、簡単に電子回路を構成できるもので、ラジオを作ったり、太陽電池の実験をすることが出来た。
これが、とても面白くて、自分も買ってもらいたいと思ったが、同じものを買うのはしゃくだったので、電子ブロックの類似品で電子ボードと言うものを買ってもらった。電子ボードは木箱のケースと上蓋の両方に電子部品が仕込まれており、それぞれの部品にはスプリング状の端子がついていた。木箱を開けると、下のケースと、上の蓋の両方にギッシリと電子部品がついていて、付属のリード線を電子部品のスプリング端子にくりくりっと巻きつけて行くことで簡単に回路が構成できた。
限られた部品の配線の仕方を変えるだけで、まったく別の機能の回路になることで、小学生なりに電子回路に魅了されていった。この経験が高専の電気工学科に進むことに繋がり、さらには現在の自分につながっている。
近年、電子ブロックは学研から復刻版が発売されている。電子ボードは見ることがなくなった。最近電子ボードと言うと、印刷機能やパソコンに取り込める機能を持ったホワイトボードを指すようになった。
最近、京都のマルツパーツでブレッドボードと言うものを購入した。ブレッドボードはユニバーサル基板の様に多数の穴が開いたボードで、各穴はICソケットの様にばね接触機構となっている。さらに、横一列に並んだひと塊の穴はボード内であらかじめ接続されており、電子部品のリード線をブレッドボードの穴に差すことで、簡単に回路を構成することが出来る。はんだ付けする必要がなく、また、リード線を切らずに指すだけなので、回路確認後に部品は再利用できる。ブレッドボードで回路の動作確認を行うことで、ユニバーサル基板での回路試作をすることなく、プリント基板作成に移行することが出来る。試作時間の短縮に効果がある優れものである。
ブレッドボードを使用しながら、電子ボードを使用して電気回路に触れ始めた小学生の頃を懐かしく思うと共に、50歳を過ぎた今、小学生だったあの頃に戻ったような感覚を覚える。
ブレッドボードで回路検証
ブレッドボード
昔の電子ブロック