9月19日から21日までの3日間、北海道函館の実家に1年半ぶりに帰省した。一日目は墓参りや親戚への挨拶周りをした。二日目は、レンタカーで函館近郊の観光地である恵山に両親とドライブをした。恵山は函館市街から東に約40kmで渡島半島の東南端に位置する活火山で、今でも噴火でえぐられた山肌からもうもうと噴煙を上げている。約30年ぶりほどに訪れたわけだがその異様な光景と又、春から初夏にかけてつつじなどの高山植物が咲き乱れる対照的なたおやかな高原を久しぶりに目にし、何とも懐かしい深い感慨を受けた。
ここは、三十数年前、函館高専の学生だった私が、友達とサイクリングにきた場所だ。その時の思い出が、ちらちらと思い出される。不確かな記憶と、今目にしている光景が、重なる部分と重ならない部分がある。それでも、この湧き上がる噴煙は確かに、あの頃にも同じように上がっていた。あの頃と何が変わっていて、何が変わっていないのか、よくわからないが、ほとんどが変わっていないようにも思う。この30年間、自分はその間にいろいろな経験をし、色々と変化もしてきたと思うが、変わっていない部分もあると思う。今、この景色を前にして、やはり、自分も変わったもの、変わってないものとあるが、その本質はあまり変わっていないのではとふと頭をよぎる。まー、とにかく懐かしい。
恵山の山の反対側の太平洋側に面した人里離れた海岸沿いに水無海浜温泉という変わった名前の露天風呂がある。海岸沿いの海水の中から温泉が湧いていて、その一角が、岩で囲まれていて入浴できるようになった自然の露天風呂で、無料で入れる。潮の干満で風呂の湯温が変わる。温泉自体は非常に熱く、そのままでは入れない。干潮の時には、海水が湯船に入らず、熱くて入浴できず、満潮の時には、湯船が海水で満ちてしまい、冷たくて入れない。従って、入浴に適した時間は日によって変わる。私が行った時は、丁度、満潮になりかけでもう、大分、海水が岩を乗り越えて湯船に入っている状態だった、他に先客が何人か入っていた。満潮間際で時間の猶予もなく、さっさと入ってすぐ上がった。もう、だいぶぬるくなっていたが、貴重な体験をすることができた。以前から気になっていた温泉だったが、見るのも入るのも初めてだった。場所が場所だけになかなか行けるところでもないので今回行けて本当によかった。
恵山も水無温泉も観光地としてはマイナーなところであまり知られていないが、そういうところにこそ、本当の心の発見があるものと思う。又、自分が生まれ育った故郷の近くにこういったところが今も変わらずひっそりと息づいていることがうれしくもあり、又、悲しくもある。
函館山から見た函館の景色(夜景で有名)
白い噴煙を上げる活火山 恵山(えさん)
温泉に入って上手いイカ刺し定食を食べて1000円はお得。
(ごはん、味噌汁はおかわり自由。うまかったごはん4杯食べた)
水無海浜温泉:椴法華(とどほっけ)支所HPより引用