磁場閉じ込め核融合に於いて、プラズマを加熱する方法に中性粒子ビーム入射加熱がある。Neutral Beam Injectionの頭文字をとってNBI加熱と言われる。粒子ビームすなわちイオンビームを加速するには正イオン又は負イオンの電荷を帯びた状態の内に、電圧を印加し加速し、加速されたのちに電子をはぎ取る又は電子を加える事で電気的に中性の粒子ビームにすることで、磁場の影響を受けずに、プラザマ中に注入され、粒子の衝突エネルギーによってプラズマの温度を上昇させる。
これまで、国内の多数の大学、研究所でプラズマ加熱の研究がなされてきて、多数のNBI装置が製作されてきた。しかし、昨今、核融合研究は巨大化すると共に、大型研究機関に集約されてきて、日本国内においては、核融合科学研究所、日本原子力研究開発機構に集約され、それ以外の研究機関では縮小、廃止の状況が目につくようになってきた。更には、これらの大型研究機関が中心になって、国際協力核融合プロジェクトであるイーター計画に研究の中心が集約されてきている。
産業技術総合研究所のNBI装置の一部はすでにヨーロッパに移設されており、大阪大学旧超高温理工学研究施設のNBI装置もその役目を一旦、終えようとしている。これらの装置で研究を進められてきた先生方も、退官されている方も多く、これらの装置の誕生の時から関わりを持ってきた、私としても寂しさを禁じ得ない。
それでも、逆に益々大型化する、核融合科学研究所のLHD・日本原子力研究開発機構のJT-60SA・ITERプロジェクトのNBI装置の今後の動向にも大いに注目をしていきたい。
やはり、核融合は私の生涯の夢であり、目指してきたものである。この実現の為に、私のパルスパワーの経験が活かされるのならば、これほどの喜びは無い。
核融合科学研究所のLHD(オレンジ色の筐体はNBI用の電源装置の一部である)