去る10月10日~14日に韓国チェジュ島にて第3回ヨーロッパ・アジアパルスパワー会議( 3rd Euro-Asian Pulsed Power Conference “EAPPC 2010” )と第18回ハイパワー粒子ビーム国際会議( 18Th International Conference on High-Power Particle Beams “BEAMS 2010” )が開催された。
長岡技術科学大学の江教授と連名にて、MOS-FETを使用した直線型電圧重畳装置( Linear Transformer Driver :LTD )モジュールの開発成果について発表した。開発したLTDモジュールは36個のMOS-FETを並列に動作させることで900V、800Aのパルスを高繰り返しで発生することができる。更に、このLTDモジュールを他数段積み重ねると、LTDモジュール内に設置した強磁性体コアの働きにより、LTDモジュール自体は接地電位であるにも関わらず、出力電圧が磁気的に足しあわされるので、例えば20個のLTDモジュールを積み重ねることにより、18kV,800A(=14.4MW)の高電圧、大電力のパルスを発生できることになる。今回はこのLTDモジュールユニットを5段積み重ね、各段のLTDモジュールで500Vのパルスを出力することにより、2500Vパルスの出力が得られることを確認した。
今後は、更にLTDモジュールの段数を増やし、数10kV以上のパルス発生を確認するとともに、更に大電力の半導体素子を使用したLTDモジュールを開発し、広く産業界で応用可能なモジュールの実現を目指す。
MOS-FET LTDモジュール(900V、800A)
5段積み重ねたLTDモジュール
5段LTDモジュールの出力電圧波形
5段LTDモジュールの模式図