パルスパワー技術研究所で試作した実験試作機の第5号である高電圧パルス電源を紹介します。
本装置は半導体スイッチであるIGBTを直並列に使用することにより、下記の高電圧パルスを安定に発生します。
出力電圧 3.6kVp
出力電流 1.2kAp
パルス幅 4.5μs
繰り返し 200pps
この高電圧パルスはさらにパルストランスで昇圧され、マグネトロンやクライストロンなどの電子管を駆動し、強力なマイクロ波を発生することができます。
各IGBTはそれぞれ、光ファイバーで同期して動作するので、電圧分担、電流分担は高度に均等化されており、高電圧、大電流、高繰り返しのパルスを安定に発生することができます。
更に、クライストロンなどの負荷が短絡した場合には、短絡をきわめて高速に検出し、IGBTのゲートを停止し、IGBTを緊急遮断します。短絡発生からIGBT遮断までの時間は従来品に比べて格段に速くなっており、頻繁に負荷短絡が発生する場合にも安心して使用することができます。又、IGBT自体の電流抑制機能も効果的に活用し、負荷短絡した場合でも、異常な電流上昇を未然に防止します。もちろん、ノイズ試験においても、誤動作、異常動作の起きないことを確認しています。
本装置はPLCで制御しており、ローカル操作はタッチパネルで操作することができ、又、イーサネット経由で中央のパソコンから遠隔操作することも可能となっています。
本高電圧パルス電源は、以前に紹介した、高電圧ステーション、イオンポンプ電源、ヒータートランスなどと組み合わせすることにより、従来にない、コンパクトな電子線発生装置を構成することが可能となります。
高電圧パルス電源